ストレッチフィルムを買ったものの、最初の端をどう留めるのか、どれくらい引っ張ればよいのか分からない。ミニタイプで小物を束ねる場合と、パレット上のダンボールを固定する場合では、巻き方も違います。
基本は「先端を固定する→適度な張力をかける→フィルムを重ねながら巻く→終端を密着させる」の4つ。ただし、小物を束ねるときは対象物同士のずれ防止、パレットでは荷物とパレットを一体に固定することが目的です。巻けば必ず安全になるわけではなく、荷物の重量・高さ・角の形状も確認しましょう。
この記事では、ミニストレッチフィルムの巻き方、業務用手巻きフィルムによるパレットの固定、よくある失敗の直し方、厚み・幅の選び方を分けて解説します。
ストレッチフィルムとは?どんな梱包に使う?
ストレッチフィルムは、引き伸ばして荷物に巻き付ける包装用フィルムです。フィルムが戻ろうとする力と、フィルム同士の密着性を利用して、複数の荷物を束ねたりパレット上の荷崩れを抑えたりします。熱で収縮させるシュリンクフィルムとは異なり、通常のストレッチフィルムは加熱しません。
一方、荷物への衝撃を吸収する緩衝材でも、丈夫な外箱の代わりでもありません。鋭い角、重い荷物、不安定な積み方をフィルムだけで解決しようとせず、もとの荷姿を整えてから巻きます。
ミニ・手巻き・機械用の違いと選び方
| 種類 | 主な用途 | 選ぶポイント |
|---|---|---|
| ミニ・ハンディタイプ | 小物、細長い品、段ボールや資材の部分結束 | 幅が狭く小回りが利く。ホルダーの対応径を確認 |
| 幅広の手巻きタイプ | パレット上の箱、まとまった荷物の固定 | 幅・厚み・ロール重量・保持しやすさを確認 |
| 機械巻きタイプ | 包装機による継続的なパレット包装 | 機械の仕様・延伸率・対応品を確認 |
製品例として、手巻き幅500mmのフィルムには厚さ10〜16μm程度のもの、機械用にはさらに厚い製品などがあります。ただし「厚さ○μmなら何kgまで安全」と一律には決められません。製品の引張特性、角の鋭さ、荷姿、輸送条件で必要な保持力は変わります。
初心者が小物を束ねたいならミニタイプ、パレット全体を巻きたいなら対応する幅広の手巻きタイプを基本に選びます。ホルダーやグリップを使う場合は、フィルムロールの芯径と適合を確認してください。
ストレッチフィルムの基本|巻き始め・張力・巻き終わり
用途を問わず、巻き始めを固定しないまま引くとフィルムが滑り、途中で緩みやすくなります。まず先端を対象物やパレットに保持させ、最初の周回で重ねて固定しましょう。巻く間はフィルムを一定の力で軽く引き伸ばし、たるみを作らずに重ねます。フィルムが細くくびれる、箱が変形する、フィルムが裂けるなら引きすぎです。
巻き終わりはフィルムを重ね、端を既に巻いたフィルムへ押し付けて密着させます。フィルム同士の密着性や荷姿によって保持力が異なるため、端が浮くときは製品に合った留め方を確認します。直接テープを貼る場合は荷物の表面材質にも注意してください。
ミニストレッチフィルムの使い方|小物を束ねる4手順
本、板状の資材、同じ形状の小箱など、まとめたい物を最初に並べて整えます。衝撃に弱い商品を裸のまま一緒に巻いたり、無理に押しつぶしたりしないでください。

- 形と角を整える。対象物を重ねて、ぐらつきや突起がないか確認する。
- 先端を保持して最初の1周を巻く。手で先端を押さえ、最初のフィルムが滑らないようにする。
- 一定の張りで重ね巻きする。端が浮かないよう少しずつ位置をずらし、フィルム同士を重ねる。
- 終端を押さえて密着させる。巻いた層に端を重ね、剥がれないか確認する。
ミニタイプは「まとめる」ための補助材です。配送する場合は、外部からの衝撃・水濡れ・配送会社の荷姿条件を別途確認し、必要に応じて箱や緩衝材を用意してください。
パレットにストレッチフィルムを巻く6手順
荷崩れ防止のポイントは、荷物だけではなくパレットの台座も巻き込み、積載物とパレットを一体にすること。箱だけをぐるぐる巻いても、荷物全体がパレット上で滑る可能性があります。作業前にパレットの破損、箱の積み方、総重量、運搬条件を確認してください。

- 荷姿・パレットを点検する。箱が大きく張り出していないか、段積みに偏りがないか、パレットが破損していないか確認する。
- フィルムの端をパレット側へ固定する。パレットの角に結ぶなど、手元のフィルムとパレットに合う方法で起点を作る。
- パレット下部を巻き込む。パレットと最下段の荷物をまたいで複数周巻き、初期固定を作る。
- 少しずつ上に進めて重ね巻く。西濃運輸の手順では、フィルム幅の約半分ずつ上に移動する方法が紹介されている。巻き残しがないよう確認する。
- 上部を重ね巻きする。箱の最上段が動かないように補強する。巻数は荷姿やフィルム性能に合わせる。
- 終端を密着し固定状態を点検する。フィルムの破れ・箱の変形・下部の緩み・上段のぐらつきを確認する。
サンワウェブではフィルム幅の少なくとも25%を重ねる例、西濃運輸では幅の半分ずつずらす例が紹介されています。25%や50%は手順例であり、荷重に対する安全性を保証する数値ではありません。重量物・背の高い荷物・輸送振動が大きい条件では、必要な保持力の検証やほかの固定方法の併用が必要です。
パレットへの積み方・角当てなど、荷姿自体の整え方はパレット梱包の方法で詳しく説明しています。
うまく巻けないときの原因と対処
| 起こること | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 巻き始めが外れる | フィルム端が固定されていない | 起点を固定し、最初の周回を重ねる |
| 途中でたるむ | 張力が弱い、重ね幅が少ない | 引く力を一定にし、重なりを確認する |
| 巻くと破れる | 尖った角、引っ張りすぎ、傷んだフィルム | 角を保護し、張力を下げる。破れた部分は巻き直す |
| 箱がつぶれる | 強い張力、箱の強度不足 | それ以上締めず、荷姿・外箱の強度を見直す |
| パレット上で荷物が滑る | 台座を巻き込んでいない、積載が不安定 | 下部の一体化と積み方・固定方法を見直す |
| 巻き終わりが剥がれる | 端の重なり・密着不足 | 端を重ねて押さえ、必要な追加固定を検討する |
特に注意したいのは、フィルムを強く引っ張るほど荷崩れしなくなるわけではないことです。過度な張力はフィルム切れや箱のへこみにつながります。巻く力の調整だけで固定できない荷姿なら、箱や積載方法から見直してください。
ストレッチフィルムを使うときの注意点
- 製品に直接強く巻かない。柔らかい表面材や精密機器は圧力・擦れ・湿気に注意し、必要な保護材を挟む。
- フィルムだけで衝撃対策を済ませない。緩衝材と外装の役割は別に考える。
- 鋭い角や突起を保護する。フィルムの裂けや局部的な締め付けを防ぐ。
- 人や荷物の下へ無理に手を入れない。安全な作業スペースを確保し、荷物の上には乗らない。
- 必要な通気を妨げない。結露や通気が問題となる荷物は用途に合う包装を検討する。
- 保管条件に注意。フィルム製品の表示に従い、高温や直射日光による劣化を避ける。
まとめ|巻き始め・重ね方・巻き終わりの3点が基本
ストレッチフィルムは、先端を固定してから適度な張力で重ね巻きし、終端を密着させるのが基本です。小物にはミニタイプで部分結束、パレットには幅広の手巻き用フィルムでパレットと荷物を一体化することを意識しましょう。フィルムが破れる、箱が潰れる場合は無理に締め付けず、荷姿・資材を見直すことが重要です。
参考資料・確認先
- 西濃運輸:ストレッチフィルムの説明とパレットの巻き方
- サンワウェブ:パレット梱包時のストレッチフィルムの使い方
- アスクル:ストレッチフィルムの巻き方と選び方
- 日本ストレッチシステム:手巻き・機械巻きの製品規格例
資料確認日:2026年10月28日。重ね幅・巻き数は紹介事例であり、すべての荷姿に共通する必要強度を意味しません。


