「荷物が途中で開けられていないか確認したい」「箱に封印テープを貼ったのに、剥がしてもVOIDの文字が出なかった」。そんなときに確認したいのが、セキュリティテープの種類と貼る面との相性です。
セキュリティテープは、開封を物理的に不可能にするものではなく、剥がした痕跡を残して開封を確認しやすくする資材です。普通の梱包テープとの違いは粘着力の強さだけではありません。転写型・非転写型で跡が残る場所が異なり、段ボール用の封かん兼用製品と小さな封印ラベルでは使い方も違います。
この記事では、メーカーの公式仕様に基づき、用途別の選び方、VOID表示が出ない原因、貼り方、痕跡を発見したときの確認方法を整理します。
先に選び方の結論
- 段ボール箱の封かんも兼ねたい:封かん用として設計された開封検知テープを選ぶ。重ね貼りの可否まで製品ごとに確認する。
- 剥がした跡を箱や容器にも残したい:貼付面に文字などが残る転写型を検討する。
- 容器に開封文字を残したくない:非転写型を候補にする。ただし材質・表面・文字の見やすさを確認する。
- 貼る面や効果が不安:出荷品へ貼る前に、同じ材質の端材で貼付・剥離テストを行う。
セキュリティテープとは?普通の梱包テープとの違い
一般的なOPP・布・クラフトテープは、箱のフタを閉じたり継ぎ目を固定したりするために使います。セキュリティテープは、それに加えて剥がすと文字や跡が現れる「開封検知」を目的とした資材です。テープによっては「VOID」「OPEN VOID」「開封済み」などの表示が現れます。
例えばtesaの封かん用テープ64007は、箱から剥がすと開封を示す表示が残る製品です。再び封をしても表示が残ることを特徴としています。一方で、すべての「セキュリティ」と名付けられたテープが同じ仕組みではありません。
VOIDの表示は「開けられた可能性を示す痕跡」であり、抜き取りや盗難の発生を証明するものではありません。箱の別の面から開けられたり、貼付面が破れたりする可能性もあります。封かんの強度と開封検知の仕組みは、分けて確認する必要があります。
通常の封かん材の使い分けを調べたい場合は、梱包テープの種類と選び方でOPP・クラフト・布・養生テープを比較しています。
転写型・非転写型・封かん兼用型はどう選ぶ?
最初に決めるべきなのは、剥がした痕跡を「貼った場所」に残したいのか、「剥がしたテープ側」に残したいのかです。さらに、テープで箱自体を閉じる必要があるかも確認します。
| 種類 | 剥がした後の変化 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 転写型 | 貼付面とテープ側に文字などの痕跡が残る製品がある | 出荷箱・保管箱・封印箇所の開封確認 | 貼付面へ文字や粘着成分が残る可能性。材質との適合を確認 |
| 非転写型 | 主に剥がしたラベル・テープ側に開封文字が現れる | 表示跡を残したくない容器や管理対象の封印 | 「非転写」でもすべての素材に適するわけではない |
| 封かん兼用型 | 箱を閉じる役割と開封検知を兼ねる | 配送用段ボールの封かん | 通常テープと同じように重ね貼りできるとは限らない |
| 破壊型ラベル | 剥がすとラベルが破れるなどして再利用しにくくなる | 機器・保管容器の小さな封印箇所 | 広い段ボール継ぎ目を封かんする用途とは別に考える |
MTセキュリティジャパンは、転写型を「剥がしたテープと貼付面の両方」、非転写型を「テープのみに痕跡が残る」タイプとして案内しています。また、TISタニムラは封かん用テープと小さな封印ラベルを用途別に展開しています。
実在製品の仕様で見る3つの違い
- tesa 64007:段ボール封かん兼用の開封検知テープ。剥離後に開封表示が現れる。シリコン背面処理によりテープ同士の重ね貼りができない仕様なので、通常テープのH貼り手順を無条件に流用しない。
- AIM 梱包用セキュリティテープ:段ボール・ストレッチフィルム向けの製品。貼付後はよく押さえ、粘着剤が安定するまで約1日かかる。プラスチック製のケースやポリ袋、特にポリエチレンには使えないと案内している。
- TISタニムラ SEC#116系の非転写ラベル:剥がしたラベル側に開封文字が出る製品。商品によって紙・破れやすい段ボールに不向きで、透明タイプは下地が明るいと乳白色のVOID表示が見えにくい場合がある。
出典:tesa 64007仕様、AIM使用上の注意、TISタニムラ製品案内。これらは個別製品の条件であり、他社製品も同じ仕様だとは限りません。

段ボール・封筒・プラスチック容器での選び方
配送用段ボール:開口部を閉じられる製品を選ぶ
発送箱に使うなら、箱のフラップの継ぎ目を閉じる封かん強度と、剥がした際の痕跡が両方必要です。小さな封印ラベルを貼っただけで、重い荷物を入れた箱のフタを支えられるとは限りません。封かん兼用テープか、製品が指定する通常の梱包テープとの併用方法を確認します。
また、底面・側面・フラップの別の継ぎ目から内容物にアクセスできる状態では、上面だけ封印しても確認できない部分が残ります。全ての開口部について、検知する位置と封かんする位置を決めてください。
紙の封筒・紙箱:剥がすと紙が破れる場合がある
紙は表面繊維ごと剥がれることがあります。これは開封痕跡として役立つ場合もありますが、期待したVOID文字がきれいに出るとは限りません。薄い紙封筒に非転写ラベルを使いたい場合は、紙に適合する製品かどうかを先に確認します。
tesaの海外向け64007製品説明にも、品質の低い段ボールでは文字表示や紙繊維の剥離による検知効果を保証できないため、接着試験が必要とされています。
プラケース・ポリ袋:素材名だけで判断しない
プラスチックはポリエチレン、ポリプロピレン、PETなど材質や表面処理が異なります。先述のAIM製品はプラスチック製のケースやポリ袋に使用できないと明記されています。別製品が適合する場合もあるため、貼りたい素材の材質名を確認し、メーカーが対応を示す製品を選びます。
高価な塗装ケース・製品本体に直接貼る場合も、見えない部分のテストや製品メーカーへの確認が必要です。元の表面を傷めるリスクがあるなら、製品へ直接貼らず外箱へ封印を移す方法も検討します。
セキュリティテープの貼り方|出荷前に確認する6手順
貼り方は製品の取扱説明を優先してください。以下は出荷箱の開封検知を目的とした、一般的な確認の流れです。
- 封印したい開口部を決める。箱の上面だけでなく底面や再開封できるフタを確認。荷物の通常の封かん強度を満たす方法も別に決める。
- 実際の素材で事前テストをする。同じ種類・表面加工の箱の端材に短く貼り、メーカー指定の条件と時間を守って剥がす。VOIDの見え方、紙の剥がれ、粘着痕、文字の判読性を確認。
- 貼付面を整える。埃、紙粉、水分、油分などが付いていない状態にする。塗装や表面加工を傷める洗浄剤を自己判断で使わない。
- 継ぎ目をまたいで貼る。開封に必要なフラップの動きを横断する位置を選び、シワ・浮き・空気だまりができないようにする。必要な幅や長さ、折り返し方は製品仕様に従う。
- 指定された方法で圧着する。指やメーカーが認める器具で十分に押さえる。特定製品の重ね貼り禁止や、剥離紙の有無にも注意する。
- 指定時間を置き、封印状態を記録する。製品によっては貼付直後に検知性能を発揮しないため、必要な安定時間を守る。出荷時にテープの端・継ぎ目・封印位置が見える写真や、箱番号・封印番号を記録しておくと受け渡し時に比較しやすい。
なお、貼付後の安定時間を一律に「24時間」と決める必要はありません。約1日というのはAIMの対象製品についての案内です。短時間で出荷する運用なら、希望する製品がその時間で十分な効果を出すか、メーカーに条件を確認してください。
封かんに使うテープのI字・H字など基本の貼り方については、ダンボールのテープの貼り方で説明しています。ただしその貼り方をセキュリティテープへそのまま適用できるとは限らないため、重ね貼り可否を最初に確認してください。

VOIDが出ない・きれいに残らないときの確認点
テープを剥がしても開封文字が出ない場合、「不良品」と決める前に、次の条件を確認します。なお、実際の発送品を繰り返し剥がして試すと、それ自体が開封痕跡になります。テストは端材で行い、出荷品には検証済みの新しいテープを使用してください。
| 起きていること | 確認する点 | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| 貼った直後に剥がすと表示されない | 製品の粘着安定時間 | メーカー指定の待機時間を守って再試験。AIM製品には約1日の例がある |
| 文字がまだら・薄い | 圧着不足、紙粉・水分、表面加工、接着不良 | 貼付面を整え、指定の圧着方法で同材質の端材を再試験 |
| 箱の紙だけ剥がれる | 段ボール表面の品質、テープの粘着力 | 文字が出るとは限らない。紙繊維の剥離を痕跡とみなす運用か確認 |
| ビニール袋で貼り付かない | プラスチックの材質と対象製品の適合 | 適合製品へ変更。AIMの該当製品はポリ袋などに使用不可 |
| 非転写型のVOIDが見えにくい | 文字色と下地の色の組み合わせ | 視認性を確認。TISの透明非転写型には白い下地で文字が見えにくい製品がある |
紙箱の表面加工や発泡スチロールへの適合については、MTセキュリティジャパンも、表面加工によって製品の特性が十分に発揮されない場合があると注意しています。製品の表示方法・貼付面・温度条件などが不明なら、用途をメーカーへ伝えて適合を確認しましょう。
開封の痕跡を見つけたときはどう対応する?
受け取った箱に「VOID」「OPENED」などの表示、テープ端の浮き、貼り直しのような跡があった場合でも、その痕跡だけで盗難・異物混入が起きたと断定しないことが大切です。粘着や貼付面との相性に問題があった可能性もあります。
実務上の対応としては、まず受け取り時の箱全体、封印位置、痕跡部分、ラベル・伝票番号を撮影し、荷物を誰が・いつ受け取ったか記録します。社内の管理対象品や高額商品なら、勝手に封を剥がし直さず、担当者に確認してから内容物の点検手順を決めます。
内容物に不足・破損が見つかった場合は、発見状況を記録して出荷元・配送会社など関係先へ相談します。申告方法や期限は取引条件・配送サービスによって異なるため、ここで一律の補償や対応期限を断定することはできません。
導入前に決めておきたいこと|テープだけでは管理は完結しない
セキュリティテープの効果は、貼ることだけでなく誰が、どの位置を、いつ確認するかで変わります。特に法人の出荷・保管業務では、製品テストと確認方法をセットで決めると運用しやすくなります。
- 目的:箱の開封検知か、商品本体の封印か。封かん強度も必要か。
- 対象素材:段ボールの表面加工・紙質、プラスチック材質、塗装の有無などを把握する。
- 製品テスト:実際の荷姿・貼付時間で「跡が見える」「剥がれない」「紙や表面を必要以上に傷めない」を確認する。
- 封印位置:どの開口部を封じ、どこを確認するか決める。必要なら番号入りラベルや出荷時写真を使う。
- 異常時の連絡:VOID表示や剥がれが見つかった場合の報告先、記録、内容物点検の担当を決める。
セキュリティテープは「貼ってあれば安全」ではなく、「確認できる状態で貼り、受け渡し時に点検できる」ことが重要です。まずは実際に使う箱や容器の端材で試し、検知の見え方と封かん作業の両方に問題がない製品を選びましょう。

