家庭菜園の野菜を家族へ送りたい、農産物を購入者へ発送したい。そんなときに難しいのが、「野菜は全部同じように箱へ入れればいいわけではない」ことです。
葉物は乾燥とつぶれに弱く、トマトなどの果菜は圧力で傷みやすい一方、じゃがいも・さつまいもなどは低温にしすぎることが適さない場合があります。野菜を安全に送る基本は、乾燥・蒸れ・圧力・温度の4つを、その野菜に合わせて調整することです。
先に結論|野菜を発送するときの基本
- 傷んだ野菜を除き、表面の水分や汚れを確認する
- 葉物・果菜・根菜など、傷み方が似た野菜に分ける
- 乾燥しやすい野菜は紙や袋で保護する
- つぶれやすい野菜は1個ずつ、または仕切りを使って保護する
- 重い野菜を下、柔らかい野菜を上に詰める
- 箱の中で動かないよう隙間を埋める
- 野菜の種類・季節・配送日数を見て常温か冷蔵か判断する
- 冷蔵便を使う場合は、発送前に予冷する
野菜の梱包は4つの傷み方を防ぐ
| 注意すること | 起こりやすい問題 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 乾燥 | 葉がしおれる、表面が乾く | 紙・ポリ袋などで水分の蒸発を抑える |
| 蒸れ | 結露、水分がこもる、傷みやすくなる | 濡れたまま詰めない。品目に合った包み方をする |
| 圧力・衝撃 | つぶれ、割れ、擦り傷 | 重い物を下にし、仕切りや緩衝材で固定する |
| 温度 | 高温による劣化、低温障害 | 野菜ごとに常温・冷蔵を判断する |
農林水産省も、野菜の保存方法は種類によって異なると案内しています。レタスや熟したトマトなど冷蔵が適した野菜がある一方、寒さに弱い野菜もあります。
観葉植物・鉢植え・苗を送る場合は、鮮度だけでなく土こぼれ・鉢の転倒・茎や葉の折れを防ぐ固定が必要になるため、野菜とは梱包方法が変わります。
発送前に傷んだ野菜と余分な水分を除く
まず、発送する野菜の状態を確認します。
- 腐り・カビ・強い傷がないか
- 割れ・押し傷・虫食いがひどくないか
- 表面に水滴が残っていないか
- 土や泥が大量に落ちる状態ではないか
傷んだ野菜を一緒に入れると、配送中に汁が出たり、周囲の野菜まで汚したりする原因になります。
また、洗った野菜を水滴が付いたまま箱へ入れるのは避けます。品目によっては洗わずに保存する方が適したものもあります。例えば農林水産省は、じゃがいもについて調理するまで水洗いしないよう案内しています。
野菜ごとの保存方法を優先し、洗った場合は表面の余分な水分をしっかり除いてから包みます。
葉物野菜は乾燥と押しつぶれを防ぐ
ほうれんそう、小松菜、春菊、レタス、キャベツなどの葉物は、乾燥するとしおれやすく、上から重い野菜を載せると葉が傷みます。
農林水産省は、葉物野菜について、乾燥を防ぐためポリ袋などに入れ、野菜が呼吸できるよう袋の口を緩く閉じる方法を紹介しています。また、ほうれんそう・小松菜などは、軽く湿らせたペーパーで包み、できれば立てて保存する方法を案内しています。
葉物の包み方
- 傷んだ外葉を必要な範囲で取り除く
- 表面に余分な水滴があれば拭く
- 乾燥しやすい場合は、軽く湿らせた紙やキッチンペーパーで根元側を保護する
- ポリ袋などへ入れ、強く押し込まない
- 箱では上段へ置き、重い根菜を上に載せない
葉物は箱の隙間材で強く押さえ込まず、横から軽く支える程度にします。
トマト・なす・きゅうりは圧力と低温に注意
トマト、なす、きゅうり、ピーマンなどの果菜類は、表面が柔らかく、他の野菜と直接ぶつかると押し傷や擦り傷ができやすい品目です。
特に熟したトマトは、重ねるほど下の実へ圧力がかかります。1個ずつ薄紙やキッチンペーパーで包む、仕切りを入れる、ヘタ側など安定する向きを意識して並べる方法が使いやすいです。
一方で、夏野菜は冷やしすぎにも注意が必要です。農林水産省は、なすについて低温障害で種が黒く変色することがあると説明しています。トマトも、夏野菜は寒さに弱いことからキッチンペーパーで包んで野菜室で保存する方法を紹介しています。
冷蔵便を使うかどうかは、野菜の種類・熟度・発送時の気温・配送日数を合わせて判断します。
じゃがいも・玉ねぎ・根菜は重さと通気を意識する
じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、大根などは葉物より硬いものの、重さがあります。箱の下側へ配置し、柔らかい野菜を押しつぶさないようにします。
特にじゃがいもは、農林水産省が暗くて涼しく、風通しの良い場所での保存を勧めています。光に当て続けると緑化しやすいため、発送でも透明袋だけでむき出しにせず、ダンボールなど遮光できる外装を使う方が分かりやすいです。
また、新じゃがなど水分が多いものは長期保存に向きません。根菜だから何日でも常温で大丈夫、と決めつけず、鮮度と配送日数も確認してください。
さつまいもは冷やしすぎない
さつまいもは寒さに弱い野菜です。農林水産省も、新聞紙などに包んで冷暗所で保存する方法を案内しています。
そのため、葉物野菜とさつまいもを同じ箱へ入れて「全部チルドで送る」と、温度条件が合わない可能性があります。
複数種類を詰め合わせる場合は、低温が必要な野菜と、低温に弱い野菜を同じ温度帯へ無理にまとめないことも大切です。
野菜を箱へ詰める基本手順

1.箱の底を補強する
野菜は水分を含むため、見た目以上に重くなります。複数種類を送る場合は、底抜けしにくいダンボールを選びます。
箱の強度や大きさの選び方は「ダンボールの選び方|サイズ・厚み・強度を荷物別にわかりやすく解説」も参考にしてください。
2.箱の底へ紙や緩衝材を敷く
底面へ新聞紙・包装紙などを敷き、配送中の振動が直接野菜へ伝わりにくくします。
水分が出る可能性がある場合は、配送会社の条件に従って袋などで漏れ対策も行います。
3.重い野菜を下へ入れる
じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、大根など比較的硬く重い野菜を下段へ入れます。
ただし、大根の先端など細い部分を箱の壁へ強く押し当てると折れやすいため、必要に応じて紙を挟みます。
4.トマトなど柔らかい野菜を仕切る
トマトや熟した果菜は、薄紙・キッチンペーパーなどで1個ずつ保護し、箱の中で互いにぶつからないよう並べます。
大量に送る場合は、ダンボール板で段を分けたり、仕切りを作ったりすると荷重を分散しやすくなります。
5.葉物は一番上へ置く
葉物はつぶれやすいため、基本的に上段へ置きます。箱のふたを閉めたときに葉へ強い圧力がかからない高さにしてください。
6.隙間を軽く埋める
箱を軽く揺らし、野菜が大きく動く部分へ丸めた紙などを入れます。
隙間を埋める目的は「動かさないこと」であり、野菜を押しつぶすことではありません。詳しい固定方法は「梱包の隙間の埋め方|箱の中で荷物を動かさない固定方法」で解説しています。
野菜と一緒に果物も送る場合は、桃の押し傷やぶどうの房つぶれなど、果物ごとの傷み方にも注意が必要です。果物を1個ずつ保護する方法と、常温・チルドの選び方はこちらで確認できます。
7.常温・冷蔵を決める
梱包ができたら、野菜の種類・季節・配送日数から配送温度帯を決めます。
8.受取日を確認して発送する
生鮮品は、配送そのものが早くても受取人が不在だと鮮度低下の原因になります。事前に受け取れる日を確認し、長期不在にならない日時を選びます。
常温便と冷蔵便はどう選ぶ?

| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 涼しい時期・短距離・常温保存向きの野菜 | 通常の宅配便を検討 |
| 葉物・熟したトマトなど冷蔵保存が適した野菜 | 季節と配送日数を見て冷蔵便を検討 |
| 真夏・高温環境・長距離配送 | 冷蔵適性のある野菜ならクール便を優先的に検討 |
| なす・さつまいもなど低温に弱い野菜 | 一律に低温へ入れず、品目ごとの適温を確認 |
| 複数種類の詰め合わせ | 温度条件が大きく違う野菜は別送も検討 |
「何月なら必ず常温」「この野菜なら必ず冷蔵」と単純に決めるのではなく、品目・熟度・外気温・到着までの日数で判断します。
クール宅急便は荷物を冷やすサービスではない
ヤマト運輸のクール宅急便を使う場合は、発送前に野菜を適切な状態まで冷やしておく予冷が必要です。
ヤマト運輸は、クール宅急便には荷物を冷やす機能はなく、冷えた状態を保つサービスだと案内しています。冷蔵タイプは0〜10℃で輸送され、予冷の目安は10℃以下で6時間以上です。
また、クール宅急便は通常の宅急便よりサイズ上限が小さく、2026年9月26日時点では120サイズ・15kgまでです。
詳しい準備手順は「クール宅急便の送り方|予冷・梱包・発送までの7手順」で解説しています。
ヤマト運輸は、発泡スチロールは外部の冷気を通しにくいため、クール宅急便で使用する場合は保冷剤などで箱内温度を調整するよう案内しています。
チルドゆうパックも予冷が必要
日本郵便には、保冷が必要な荷物を冷蔵温度帯で届ける「チルドゆうパック」があります。
2026年9月26日時点では、3辺合計150cm以下、最長辺100cm以下、25kg以下が基本条件です。日本郵便も、差し出すまでに荷物をあらかじめ冷やしておく予冷を求めています。
なお、日本郵便の案内では、チルドゆうパックは通常のゆうパックよりおおむね1日程度多くかかる場合があります。鮮度が重要な野菜では、料金だけでなく実際のお届け日数も確認してください。
冷蔵便で送るときの袋と結露対策
ヤマト運輸は、野菜・果物など生鮮品について、液漏れがないようビニール袋やポリ袋などで全体を覆うよう案内しています。
一方、葉物野菜の保存では、農林水産省が袋の口を緩く閉じて呼吸できるようにする方法を紹介しています。
このため、実際の発送では濡れた野菜を直接密封しないことが重要です。野菜ごとの内包装で乾燥・蒸れを調整し、そのうえで配送中の水分漏れを防げる外側の袋・箱を使います。
箱を開けたときに水滴が大量についている状態を避けるため、冷蔵前後の温度差と表面水分にも注意してください。
野菜の詰め合わせは温度条件をそろえる
「家庭菜園で採れた野菜を全部まとめて送りたい」という場合ほど、温度条件を確認します。
例えば、葉物とさつまいもでは適した温度の考え方が異なります。低温を好む野菜と低温に弱い野菜を一緒に入れると、どちらかへ無理が出ます。
詰め合わせるなら、似た保存条件の野菜を組み合わせるか、温度条件が大きく違う場合は箱を分ける方法も検討してください。
沖縄などから野菜を送る場合は移動規制にも注意
国内配送でも、野菜によっては植物防疫上の移動規制があります。
植物防疫所は、沖縄県・奄美群島などからサツマイモ(紅イモを含む)や一部の植物を本土側へ移動することを規制しています。消毒など所定の条件を満たせば持ち出せる場合もありますが、発送元の地域と野菜の種類によって条件が変わります。
特にフリマ・通販で農産物を送る場合は、梱包だけでなく発送そのものが可能かも事前に確認してください。
野菜の梱包でよくある質問
新聞紙で野菜を包んでもいいですか?
乾燥防止や擦れ防止のために使えます。ただし、濡れた新聞紙で全体を密閉したり、インク移りが気になる商品へ直接強く密着させたりする必要はありません。品目に合わせてキッチンペーパーや無地紙、袋と使い分けてください。
ダンボールに穴を開けた方がいいですか?
野菜によって通気性は重要ですが、宅配用ダンボールへ大きな穴を開けると箱の強度を落とすことがあります。野菜の内包装で蒸れを調整し、市販の青果用箱など通気設計された箱がある場合はそれを利用する方法が分かりやすいです。
保冷剤は直接野菜へ当ててもいいですか?
直接密着させると局所的に冷えすぎたり、結露で濡れたりすることがあります。保冷剤を使う場合は紙や仕切りを挟み、低温に弱い野菜へ直接当てないようにしてください。
まとめ
野菜の梱包では、乾燥・蒸れ・圧力・温度の4つを、その野菜に合わせて調整することが重要です。
参考:農林水産省「葉物野菜の保存法」、農林水産省「夏野菜&果物の保存術」、農林水産省「じゃがいもの保存」、農林水産省「生野菜を安全でおいしく食べるために」、ヤマト運輸「野菜・果物や生鮮食品は送れますか?」、ヤマト運輸「クール宅急便の発送前準備」、日本郵便「チルドゆうパック」、植物防疫所「植物等の移動規制について」(2026年9月26日確認)




