マザーボードを単体で発送する場合は、CPUソケットを専用カバーで保護し、基板を静電気から守り、箱の中で反ったり部品が押されたりしないように固定することが重要です。特にLGA系ソケットの細かな接点は輸送時に曲がると正常に動作しなくなるおそれがあります。
この記事は取り外したマザーボード単体の販売・修理発送を対象に、元箱あり・なしの梱包、Intel LGA/AMD AM5/AM4の違い、M.2・I/O端子・付属品の扱いを説明します。PC本体に組み込んだまま輸送する場合はデスクトップPCの梱包方法を参照してください。
マザーボードの発送前に確認すること
| 確認箇所 | 確認事項 |
|---|---|
| CPUソケット | Intel LGA・AMD AM5の接点、純正PnP保護キャップの有無。AM4などPGA用の穴型ソケットとは構造が違う |
| 基板の外形 | ATX・microATX・Mini-ITXなどサイズと高さ、反り・ひび割れ |
| 搭載部品 | メモリ、CPU、クーラー、M.2 SSD、ヒートシンク、Wi-Fiモジュール等の有無 |
| 突出部分 | 24ピン電源、SATA、USBヘッダー、I/O端子、M.2固定ネジ、アンテナ端子 |
| 用途 | 販売・譲渡か修理返送か。付属品や保証条件が変わる |
| 元箱 | 純正の袋・フォーム・スペーサー・外箱が残っているか |
販売前は動作確認と型番・シリアル番号・ソケット周辺の写真を記録してください。CPUやメモリの取り外しが必要なら電源を切ってプラグを抜き、機器の説明書に従い作業します。ソケット接点を指や工具で触らないよう注意してください。
ソケットカバーの扱いはCPU方式で異なる
ASUS公式は2026年6月23日更新のFAQで、修理発送するマザーボードにCPUソケットカバー(PnPキャップ)を装着するよう指定しています。対象例はIntel LGA1851・LGA1700等とAMD AM5。接点がソケット側にあるため、適合する純正ソケットカバーがないまま接点へ紙や緩衝材を押し付けるのは避ける必要があります。
| CPUソケット | 輸送での注意 |
|---|---|
| Intel LGA系 | 微細な接点がマザーボード側にある。対応する純正PnPキャップを指定手順で取り付ける |
| AMD AM5 | LGA構造で接点はマザーボード側。対応するソケットカバーで保護する |
| AMD AM4などPGA系 | CPU側にピン、マザーボード側に穴のソケット。LGA用カバーを流用せず機種の保護方法に従う |
カバーの取り付け位置は製品ごとに異なります。力をかけて押し込む、別規格のカバーを流用する、粘着テープを貼る方法は避けましょう。ASUSでは修理受付にカバー装着を求めているため、ない場合は発送前にメーカーや修理受付窓口へ確認してください。CPU自体を別送する場合の保護方法はCPUの梱包方法で解説しています。

静電気対策に必要な袋と梱包資材
| 資材 | 選び方・役割 |
|---|---|
| 適合するソケットカバー | マザーボード側の微細な接点を保護する。純正またはメーカーが指定する適合品 |
| 静電シールド袋 | 放電シールド性能のあるメタライズドタイプ等を優先。ボード全体とヒートシンクを無理なく収める内寸 |
| 純正フォーム・支持材 | 基板の広い範囲を支持し、たわみを抑える |
| 丈夫な硬い内箱 | 箱の中で基板や端子に圧力が掛からない空間を作る |
| 外装用段ボールと緩衝材 | 内箱を四方から保護し、衝撃を緩和する |
| 小袋・小箱 | M.2ネジ、Wi-Fiアンテナ、I/Oシールドなど付属品を分離 |
静電気を起こしにくい袋と、外部の静電放電を遮蔽する袋は同じではありません。ESD Associationは、管理された静電気対策区域の外へ電子部品を運ぶ際には放電シールド性を備えた梱包を説明しています。普通のOPP袋やピンク色の帯電防止袋のみを静電シールド袋と同等に扱わないでください。
電子部品用の袋の違いはPCメモリの梱包方法でも説明しています。マザーボードは各種コネクターやヒートシンクが突出するため、寸法だけでなく袋を貫通しないゆとりも必要です。
大きめの静電シールド袋を探している場合は、SCSの「1001824」が候補になります。金属蒸着層を内側に持つ静電シールド袋で、放電シールド性能は10nJ未満。袋の内寸は約457×610mmあり、大型グラフィックボードにも対応しやすいサイズです。
ただし、グラボの長さだけでなく、クーラーの厚みや金属ブラケットの出っ張りを含め、無理なく袋を閉じられるか確認してください。
DigiKeyでは1枚から注文できます。送料は別途確認してください。なお、静電シールド袋は衝撃を吸収する梱包材ではないため、袋に入れた後は丈夫な箱と緩衝材で保護します。
取り外したグラフィックボードを別に発送する場合は、基板だけでなくPCIe端子やファン、大型クーラーの保護も必要です。単体発送の静電気対策と保持方法は「グラフィックボードの梱包方法」で確認してください。
元箱なしマザーボードの梱包6手順

- PCから安全に取り外す。電源を切って電源コードを抜き、固定ネジやケーブルを外す。基板のコネクターを無理に引っ張らない。
- CPU・メモリなどを整理する。販売内容と修理先の条件に従い、着脱すべきパーツを判別して個別に保護する。
- CPUソケットを守る。Intel LGAやAMD AM5では適合するPnPカバーをメーカー指定の方法で装着する。
- 静電シールド袋へ入れる。部品や接点を手で触らず、ボード全体を無理なく包む。袋の開口を基板へ直接強くテープ留めしない。
- 基板を保持する。純正成形材や適合する支持材で基板の広い部分を支え、コネクターやヒートシンクが箱へ押されないようにする。
- 二重梱包して固定する。硬い内箱の周囲へ緩衝材を配置し、丈夫な外箱の中で動かないようにする。
MSI日本公式の梱包例も、CPUスロットカバー・対静電袋の使用、丈夫な箱、緩衝材による隙間埋めを案内しています。外箱を小さくするためにボードを曲げたり、角を無理に押し込んだりしないでください。
基板の反り・コネクターを防ぐ保持方法
マザーボードは面積の大きなプリント基板に、高さの異なるコネクター・チップセットヒートシンク・I/O部品が実装されています。基板の四隅だけが宙に浮いた状態や、ヒートシンクの上に重い物が乗る状態では、輸送中の曲げや接触が起こりやすくなります。
| 部位 | 保護の考え方 |
|---|---|
| 基板の四隅と外周 | 角打ち・反りを避ける。保持材は丈夫な支持箇所へ分散配置する |
| PCIe・メモリスロット | 細いラッチや端子に緩衝材を押し込まない |
| 24ピン・USB・SATA端子 | 横方向にコネクターを押さえ付けない |
| I/Oパネル・アンテナ端子 | 金属エッジで袋を破らないようサイズと当たり方を確認 |
| ヒートシンク・M.2部 | 冷却フィンや小さな固定ネジに外圧を掛けない |

基板が動かないことだけを優先して詰め物を強く押し付けるのは逆効果です。純正の保持材がない場合は、どの部分で安全に支えられるか取扱説明書やメーカーの修理梱包例を確認しましょう。隙間埋めの一般的な方法は梱包の隙間の埋め方を参考にできます。
M.2・メモリ・CPUクーラーの取扱い
販売時には付属品の範囲を出品説明どおりにそろえます。一方、修理発送でASUSはCPU、メモリ、ストレージ、冷却装置などマザーボード本体以外の部品を取り外すよう求めています。ただし、Wi-Fiモジュールを搭載するマザーボードでは、そのモジュールを製品と一緒に送る指定があるため、何でも外すのは誤りです。
M.2 SSDを外すなら専用ネジや固定具を紛失せず管理します。大型CPUクーラーはソケット・基板へ負担をかける場合があるため、修理先・メーカーの指示に従って取り外します。メーカーが指定する付属品の条件は保証や修理受付にも関係します。
元箱あり・修理発送の場合の注意
元箱・純正フォーム・静電袋が残っていれば、劣化や欠損がないことを確認して優先します。ただし化粧箱自体を配送用外箱と考えず、周囲に緩衝材を入れた丈夫な箱で二重梱包してください。
修理発送前には、受付番号、購入証明、ソケットカバー装着、CPU・メモリなどの取り外し、Wi-Fiモジュール等の例外を必ず依頼先へ確認します。ソケットカバーを紛失した場合に、自作の段ボールやプチプチをソケット内へ差し込む方法は勧めません。指定された代替品の調達・対応をメーカーへ相談しましょう。
マザーボードの発送方法と送料
緩衝材と内箱を含む完成荷姿の3辺寸法・重量を測って発送方法を選びます。原則としてヤマトの宅急便は3辺計200cm・30kg以内、日本郵便の通常ゆうパックは3辺計170cm・25kg以内ですが、サービスごとの追加条件と引受可否を確認してください。高価な製品は追跡と補償条件にも注意が必要です。
薄い箱や宅配袋だけで梱包を済ませないでください。硬い箱に基板を保持したうえで、外箱のサイズを選ぶのが安全です。メーカー修理への発送では指定配送手段があればそちらを優先します。
まとめ|ソケット・静電気・基板の反りを防ぐ
マザーボードは、適合するCPUソケットカバーで接点を守り、静電シールド袋に収め、基板を広く支持できる硬い箱と外箱で固定する手順が重要です。修理発送ではCPU等の取り外しやWi-Fiモジュールの同梱にメーカー差があるため、受付条件に従ってください。
公式情報・参考資料
- ASUS:CPUソケットカバーの取り付け(2026年6月更新)
- MSI:修理品の梱包方法
- ASUS:修理品の梱包と部品の取扱い
- ESD Association:包装材料と放電遮蔽
- GIGABYTE:マザーボード保証条件
公式確認日:2026年10月23日。本文の支持材配置は一般的な梱包上の推奨で、各メーカーがすべての型式について指定する固定方法ではありません。個別の説明書と修理窓口の指示を優先してください。


