発泡スチロールの梱包での使い方|緩衝材・断熱材として使うコツ

発泡スチロールの梱包での使い方 梱包道具・資材

発泡スチロールを梱包に使うとき、

「プチプチの代わりになる?」
「重い物も発泡スチロールで支えて大丈夫?」
「発泡スチロール箱なら冷蔵で送れる?」

と迷うことがあります。

結論からいうと、発泡スチロール(EPS)は、商品を箱の中で支える緩衝材や、温度変化を抑える断熱材として使いやすい素材です。

特に、

成形材で商品を固定する
板やブロックで角・底・側面を支える
発泡スチロール箱で保冷する

といった使い方に向いています。

一方で、柔らかい隙間へ何でも詰め込む万能緩衝材ではありません。

重量物では発泡材が潰れることがありますし、保冷箱もそれだけで商品を冷やしてくれるわけではありません。

JEPSA(発泡スチロール協会)によると、EPSは体積の約98%が空気で、軽量性・緩衝性・断熱性などを持ち、家電や精密機器の梱包材にも使われています。

この記事でわかること
  • 発泡スチロールが梱包材として向いている理由
  • 板・ブロック・成形材・発泡箱の使い分け
  • 商品を発泡スチロールで固定する方法
  • 重量物で使うときの注意点
  • 保冷・冷凍発送で勘違いしやすいポイント
  1. 発泡スチロールは「軽いのに支えられる」のが特徴
  2. 梱包で使う発泡スチロールの主な形
  3. 発泡スチロールは「隙間へ詰める」より「位置を支える」のが得意
  4. 発泡スチロールを使った基本的な梱包手順
    1. 1.商品の弱い部分を確認する
    2. 2.商品表面を必要に応じて保護する
    3. 3.箱の底へ板・成形材を置く
    4. 4.商品を中央へ置く
    5. 5.側面・角をブロックなどで支える
    6. 6.上部も保護する
    7. 7.箱を軽く動かして確認する
  5. 重い商品では「点」ではなく「面」で支える
  6. 精密機器では購入時の成形材を残しておくと便利
  7. 発泡スチロール箱は保冷に向いている
  8. 発泡スチロール箱だけでは「冷やせない」
  9. クール便ではダンボールの方が向くこともある
  10. アイスクリームでは発泡スチロール+ドライアイスが指定される
  11. 発泡スチロールは自分で切って使える
  12. 発泡スチロールを商品へ直接当てない方がいいケース
  13. 古い発泡スチロールを再利用してもいい?
  14. 発泡スチロールとプチプチはどちらを使えばいい?
  15. 発泡スチロール梱包で避けたいNG例
  16. 発送前チェックリスト
  17. 発泡スチロール梱包でよくある質問
    1. 発泡スチロールはプチプチの代わりになりますか?
    2. 発泡スチロールは重い物にも使えますか?
    3. 発泡スチロール箱に入れれば冷蔵発送できますか?
    4. 発泡スチロールは水に強いですか?
    5. 元箱の発泡スチロールは捨てない方がいいですか?
  18. まとめ

発泡スチロールは「軽いのに支えられる」のが特徴

発泡スチロールは、ポリスチレン樹脂を発泡させた素材です。

JEPSAによると、一般的なEPS製品は約98%が空気、約2%がポリスチレン樹脂で構成されています。

この構造によって、

  • 軽い
  • 衝撃をやわらげる
  • 熱を伝えにくい
  • 加工しやすい

という特徴があります。

家電製品の購入時に、製品の左右や四隅へ白い成形材が入っていることがあります。あれも、発泡スチロールの代表的な使い方です。

商品をただ包むのではなく、決まった位置で支えて箱の中で動かなくする役割を持っています。

梱包で使う発泡スチロールの主な形

形主な用途向いている使い方
成形発泡材家電・精密機器商品を決まった位置で支える
板状EPS底・側面・天面面で荷重を受ける、スペーサー
ブロック状EPS四隅・側面商品と箱の間隔を保つ
発泡スチロール箱食品・保冷品断熱・保冷
カットしたEPS特殊形状品商品形状に合わせた固定

成形材で商品を支えて固定する方法を比較したい場合は、紙製のパルプモールド緩衝材との違いも参考になります。

JEPSAでも、EPSは金型でさまざまな形状へ成形でき、用途に合わせた製品を作れることを特徴として挙げています。

発泡スチロールは「隙間へ詰める」より「位置を支える」のが得意

発泡スチロールとプチプチでは、得意な使い方が少し違います。

プチプチは商品へ巻き付けて、衝撃や擦れをやわらげるのが得意です。

一方、板やブロック状の発泡スチロールは、商品と箱の間へ配置し、一定の位置へ保つ使い方に向いています。

たとえば家電なら、

底面→左右→四隅→上部
を発泡材で支えることで、商品が箱の中央からずれにくくなります。

つまり、「包む」より「支える」と考えると使いやすい資材です。

発泡スチロールを使った基本的な梱包手順

発泡スチロールの基本的な使い方 図解

1.商品の弱い部分を確認する

まず、

  • 角
  • 液晶・ガラス面
  • 突起
  • スイッチ
  • 脚
  • コネクター
  • 傷が付きやすい表面

を確認します。

発泡スチロールを置けば何でも守れるわけではありません。先に「どこへ力をかけてはいけないか」を決めます。

2.商品表面を必要に応じて保護する

発泡スチロールを商品へ直接当てたくない場合は、薄紙・袋・柔らかいシートなどで表面を保護します。

特に、

  • 光沢面
  • 塗装面
  • 液晶
  • アクリル
  • 傷が目立つ商品

では、発泡材との擦れにも注意します。

3.箱の底へ板・成形材を置く

箱底へ発泡スチロール板や専用成形材を置きます。商品を箱底へ直接置くのではなく、下からの衝撃を受けるための層を作ります。

ただし重い商品では、薄い発泡板だけでは潰れることがあります。商品の重量に合った厚さ・硬さを選びます。

4.商品を中央へ置く

商品を箱の中央付近へ配置します。

できるだけ箱の側面へ直接触れないようにします。

商品が片側へ寄っていると、外から受けた衝撃がそのまま中身へ伝わりやすくなります。

5.側面・角をブロックなどで支える

商品と箱の間へ発泡スチロールのブロックや板を配置します。

このとき、

壊れやすい突起へ発泡材を強く押し当てない

ことが重要です。

広く丈夫な面を支点にします。

6.上部も保護する

側面だけでなく、上方向への動きも止めます。

商品上面に壊れやすい部品があるなら、そこを直接押さえず、周囲の丈夫な部分で支えます。

7.箱を軽く動かして確認する

箱を閉じる前に、軽く左右へ動かします。

商品が中で滑るなら、発泡材の位置や厚みを調整します。

発泡スチロールを入れたことではなく、商品が動かなくなったことが完成条件です。

重い商品では「点」ではなく「面」で支える

発泡スチロールには圧縮強度がありますが、強さは製品の密度・発泡倍率・厚さなどによって異なります。

そのため重量物を、小さな発泡ブロック1個だけで支えるのは避けた方が安全です。

たとえば10kgの商品を四隅の非常に小さな点だけで支えると、その場所だけ発泡材が潰れる可能性があります。

重量物では、板状資材などで接触面積を広くし、荷重を分散することを意識します。

なおJEPSAが示す圧縮性能の例も、特定条件のEPSで面全体に荷重を受けた場合のデータです。発泡スチロールならどんな製品でも同じ重さに耐えられる、という意味ではありません。

精密機器では購入時の成形材を残しておくと便利

テレビ・プリンター・パソコン周辺機器などでは、商品専用に作られた発泡スチロールが入っていることがあります。これはかなり優秀な梱包材です。

商品の形状に合わせて、

  • 支える位置
  • 空間を空ける位置
  • 衝撃を受ける位置

が設計されているためです。

ヤマト運輸も精密機器について、購入時の箱があるなら購入時と同じ状態へ戻して梱包する方法を案内しています。

保管場所に余裕があるなら、高価な精密機器の元箱と成形材は残しておく価値があります。

発泡スチロール箱は保冷に向いている

EPSの内部には多数の独立した気泡があります。

気泡の中では空気が対流しにくいため、熱が伝わりにくく、発泡スチロールは断熱材として使われています。

そのため、

  • 鮮魚
  • 冷蔵食品
  • 冷凍食品
  • アイス類

などの輸送箱にも使われます。

ただし、ここには大きな注意点があります。

発泡スチロール箱だけでは「冷やせない」

発泡スチロールは温度変化を遅くする素材であって、冷蔵庫ではありません。

箱そのものに冷却能力はありません。

ヤマト運輸も、クール宅急便は荷物を冷やしたり凍らせたりするサービスではなく、発送前に予冷が必要と案内しています。

さらに発泡スチロール箱は断熱性が高いため、外側からのクール便の冷気も入りにくくなります。

そのためヤマト運輸では、発泡スチロール箱をクール宅急便で使う場合、箱の中へ保冷剤などを入れて温度調整する必要があると案内しています。

つまり、発泡箱+クール便=自動的に冷えるではありません。

冷蔵・冷凍品を実際に発送する場合は、予冷から梱包、持ち込みまでのクール宅急便の手順も確認してください。

クール便ではダンボールの方が向くこともある

意外ですが、ヤマト運輸は一般的な冷蔵・冷凍品について、冷気を通しやすいダンボールも推奨しています。

一方、発泡スチロール箱は外からの冷気を通しにくいため、内部へ保冷剤が必要です。

そのため、断熱したいから必ず発泡スチロールとは限りません。

送りたい食品、必要温度、輸送時間、配送サービスに合わせて選びます。

アイスクリームでは発泡スチロール+ドライアイスが指定される

ヤマト運輸では、アイスクリームについては発泡スチロール箱を使い、十分なドライアイスを入れるよう案内しています。

60サイズ・約5Lの発泡スチロール容器なら、ドライアイス2kgが目安です。

これは一般的な「発泡箱へ入れれば冷える」という話ではなく、アイスクリームの必要温度がクール宅急便の通常冷凍温度より低いための個別条件です。

食品発送では、利用する配送サービスの最新条件を必ず確認してください。

発泡スチロールは自分で切って使える

EPSは比較的加工しやすい素材です。

JEPSAでも、刃物や電熱線を利用して加工できることを特徴として挙げています。

市販の板やブロックを、

  • 商品の横幅
  • 箱との隙間
  • 支えたい高さ

に合わせてカットして使うこともできます。
ただし家庭で加工すると、細かな粒や切りくずが出ます。

加工後は、商品や精密機器の内部へ破片が入らないよう、切りくずを十分に除去してから使う

ようにします。

発泡スチロールを商品へ直接当てない方がいいケース

発泡スチロールは多くの商品へ使えますが、直接触れさせない方がいい物もあります。

たとえば、

  • 傷が付きやすい光沢面
  • 精密な塗装面
  • アクリル面
  • 液晶
  • 微細な穴や機構がある機器

などです。

こうした物は、
商品 → 薄紙・袋など → 発泡スチロール
の順にすると扱いやすくなります。

発泡材の粒が欠けやすい状態なら、特に直接接触を避けます。

古い発泡スチロールを再利用してもいい?

状態が良ければ再利用できることもあります。

ただし、

  • 割れている
  • 欠けている
  • 潰れている
  • 汚れている
  • 商品形状に合っていない

ものは避けた方が安全です。

特に専用成形材は、似たサイズの別商品に流用すると、本来支えるべき位置と合わない場合があります。

「箱の中へ入ったから使える」ではなく、商品を正しい位置で支えられるかを確認します。

発泡スチロールとプチプチはどちらを使えばいい?

どちらか一方を選ぶ必要はありません。

役割が違います。

資材得意なこと
プチプチ商品全体を包む、擦れ・衝撃をやわらげる
発泡スチロール商品を支える、位置を固定する、断熱する
紙・エアー緩衝材軽い商品の隙間を埋める
板ダンボール曲げ・面方向の補強

たとえば精密機器なら、

本体を袋や薄い緩衝材で守る → 発泡スチロールで四隅を支える → ダンボールへ固定する

という組み合わせも使えます。

発泡スチロール梱包で避けたいNG例

  • 重量物を小さな一点だけで支える
  • 割れた古い成形材を無理に再利用する
  • 商品表面へ発泡スチロールの欠片が入り込む状態にする
  • 箱の中で商品が動くのに緩衝材を追加しない
  • 発泡スチロール箱だけで温度管理ができると思い込む

発送前チェックリスト

  • 商品の弱い部分を確認した
  • 傷が付きやすい表面を保護した
  • 発泡材が商品形状に合っている
  • 商品を箱の中央で支えている
  • 重量が一点に集中していない
  • 突起や液晶へ直接力がかかっていない
  • 発泡材が割れたり潰れたりしていない
  • 箱を動かしても商品が移動しない
  • 切りくずを除去した
  • 保冷品なら配送サービスの条件を確認した
  • 必要なら保冷剤・ドライアイスを用意した

発泡スチロール梱包でよくある質問

発泡スチロールはプチプチの代わりになりますか?

完全な代替ではありません。

発泡スチロールは商品を支えたり、位置を固定したりするのが得意です。

プチプチは商品全体を包んで衝撃や擦れをやわらげるのが得意なので、荷物によって併用します。

発泡スチロールは重い物にも使えますか?

使えますが、荷重のかけ方に注意が必要です。

小さな一点へ重量を集中させると潰れる可能性があります。板状の発泡材などを使い、できるだけ広い面で支えます。

非常に重い物では、硬質フォームや木材、パレットなど別の梱包資材が必要になる場合があります。

発泡スチロール箱に入れれば冷蔵発送できますか?

箱へ入れるだけでは冷蔵にはなりません。

ヤマト運輸では発泡スチロール箱をクール宅急便で送れますが、外からの冷気を通しにくいため、内部へ保冷剤などを入れて温度調整する必要があります。

発泡スチロールは水に強いですか?

EPSは独立気泡構造を持ち、水を通しにくい性質があります。

ただし、発泡スチロールを使っただけで梱包全体が完全防水になるわけではありません。水濡れさせたくない商品は、袋などでも商品側を保護します。

元箱の発泡スチロールは捨てない方がいいですか?

テレビ・家電・精密機器などを将来もう一度発送する可能性があるなら、残しておく価値があります。

専用成形材は商品の形状に合わせて作られているため、市販の汎用品より位置を固定しやすい場合があります。

まとめ

発泡スチロールの梱包での使い方|緩衝材・断熱材として使うコツでは、商品そのものを保護し、外装の中で動かない状態にすることが基本です。

商品形状に合わせて、袋・緩衝材・板状補強・小箱を使い分けましょう。

参考:JEPSA「発泡スチロールの特性」、JEPSA「緩衝材」(2026年9月19日確認)